結論:
- Zen of Python(PEP 20) は「Pythonらしさ」を示す哲学・格言集。
- PEP 8 はその哲学を日々の開発に落とし込むための実践ルール集。
両者を合わせて学ぶことで、単なる“動くコード”から“美しいPythonコード”へ進化できます。
この記事でわかること
- Zen of Python(PEP 20)とは何か?
- PEP 8とは何か?
- 両者の関係性と役割分担
- 実際の開発でどう使い分けるのか?
Zen of Python(PEP 20)とは?
- Guido van Rossum(Pythonの生みの親)による「Pythonの設計哲学」をまとめたもの
import this
と入力すればターミナルに表示される- 「美は醜に勝る」「明示は暗黙に勝る」など、19の格言で構成
特徴
- 抽象的で哲学的
- コードの書き方そのものよりも、考え方・価値観を示している
- 言い換えれば、Python文化の憲法のような存在
PEP 8とは?
- Pythonコミュニティが合意した公式スタイルガイド
- 変数名、関数名、クラス名、インデント、空白、コメントの書き方などが具体的に記載
- 「コードをどう書くべきか?」に答えてくれるルール集
特徴
- 具体的で実務的
- 誰でもすぐに実践できるチェックリスト形式
- コード自動整形ツール(black, isort など)もPEP 8を基盤に動いている
ZenとPEP 8の関係性
Zen(思想)とPEP 8(ルール)は、よく 「心構えと行動指針」 に例えられます。
- Zen = 価値観・哲学
→ 「美しく、明示的で、シンプルに」 - PEP 8 = 実践方法
→ 「インデントはスペース4つ」「変数名はsnake_case」「行は79文字以内」
図解イメージ
Zen of Python(哲学)
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PEP 8(ルール)
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実際のコード(実装)
実務での活用イメージ
- 設計・レビュー段階:
Zenを意識し「複雑にしすぎていないか?」「明示的に書けているか?」を確認 - コーディング段階:
PEP 8を意識し「インデントは揃っているか?」「命名規則に従っているか?」をチェック - ツールによる自動化:
PEP 8のルールはツールに任せ、エンジニアはZenに基づいた設計・表現に注力
よくある疑問(初心者Q&A)
Q. ZenとPEP 8、どちらを先に学べばいい?
A. Zen → PEP 8 の順がおすすめ。
哲学を理解すると、PEP 8のルールが「単なるお作法」でなく「理由ある指針」として理解できます。
Q. PEP 8を全部覚えなきゃダメ?
A. 暗記する必要はありません。ツール(black, flake8など)を使いながら学べば自然に身につきます。
Q. Zenは抽象的でよくわからない…
A. 心配ありません。次章で一つずつ格言を解説していきます。
まとめ
- Zen of Python = 哲学・心構え
- PEP 8 = 具体的な行動ルール
- 両者は補完関係にあり、どちらが欠けても「Pythonらしさ」は身につかない