AIシステムの導入においては、自社開発ではなく外部ベンダーに委託するケースが多くあります。
その際、契約内容が不明確だと「期待した性能が出ない」「知的財産の帰属が不明確」などのトラブルにつながります。
ここでは AI開発委託契約 における重要なポイントを整理します。
契約形態
請負契約
- 成果物の完成に対して報酬が支払われる形式。
- 例:AIモデル(学習済み)の納品。
- 特徴:完成責任をベンダーが負う。
準委任契約
- 作業そのものの遂行に対して報酬が支払われる形式。
- 例:データの前処理、アルゴリズムの検証支援。
- 特徴:成果保証はなく、作業義務のみ。
👉 試験ポイント:「請負=完成責任、準委任=作業義務」。
成果物の範囲
- 学習済みモデル
- ソースコード
- 学習データ(加工データを含む)
- ドキュメント(モデル仕様書、精度検証レポート)
👉 どこまでを「納品対象」とするかを契約で明示する必要がある。
知的財産権の帰属
- AIモデルやソースコードの著作権、特許権の帰属先を明確にする。
- 開発委託では「発注者に帰属」とするケースが多いが、学習済みモデルの再利用可否を巡って争いになることも。
- 契約で 利用範囲・二次利用の可否 を明記することが重要。
性能保証と責任
- AIは確率的に動作するため、成果物に「100%の精度保証」を盛り込むのは困難。
- 一般的には「一定の精度を目指す努力義務」にとどめる。
- 想定外の利用による損害は、責任範囲を限定する条項で調整する。
秘密保持
- 学習データに顧客の営業秘密や個人情報が含まれる場合が多い。
- 秘密保持契約(NDA) でデータの利用範囲・保存期間を定める必要がある。
まとめ
- 契約形態:請負契約か準委任契約かを区別。
- 成果物の範囲:モデル・コード・データを明示。
- 知的財産権:帰属先と利用範囲を契約で定める。
- 性能保証:過度な保証は避け、努力義務とするのが一般的。
出題チェック
- 「請負契約と準委任契約の違いは?」
- 「AI委託契約で重要な成果物とは?」
- 「知的財産権を巡ってトラブルになりやすいのは?」
練習問題(例題)
問題:AI開発委託契約において「完成責任」を負う契約形態はどれか?
- 準委任契約
- 請負契約
- 賃貸借契約
- 委任契約
👉 正解:2