2.2 知識表現とエキスパートシステム

G検定

人工知能研究の第2次ブーム(1980年代)を支えた中心技術が 知識表現エキスパートシステム です。
この分野は「AIがどのように知識を表現し、推論するか」という基礎概念を理解する上で非常に重要です。
G検定でも MYCIN知識獲得のボトルネック などが頻出します。


知識表現とは?

知識表現(Knowledge Representation) とは、
「人間の知識をコンピュータで扱える形式に変換する方法」を指します。

代表的な表現方法

  • IF-THENルール(産出規則)
    • 例:「もし発熱がある AND 咳が出る → 風邪の可能性が高い」
    • 条件と結論をセットにして表現。
  • フレーム表現
    • 事物や概念を「属性(スロット)」として整理。
    • 例:自動車=〈エンジン: ガソリン, 車輪: 4〉
  • オントロジー
    • 概念と関係性を体系的に記述する枠組み。
    • 例:人間 → 動物 → 生物 という階層関係。

👉 ポイント:知識表現は「データをどう記号化してAIに理解させるか」を解くアプローチ。


エキスパートシステムとは?

エキスパートシステム(Expert System) とは、
「専門家の知識をコンピュータに組み込み、専門家のように問題解決するシステム」です。

構成要素

  1. 知識ベース(Knowledge Base)
    • 専門家の知識(ルールや事実)を集めたデータベース。
  2. 推論エンジン(Inference Engine)
    • 知識ベースを利用して推論し、結論を導く仕組み。

代表的な事例

MYCIN(マイシン)

  • 開発年代:1970年代
  • 用途:細菌感染症の診断と治療支援
  • 特徴
    • 専門医と同等の診断精度を発揮
    • IF-THENルールを活用
  • 限界:実用化には至らず → 知識の更新が大変

Cycプロジェクト

  • 概要:日常的な常識知識を網羅的にデータ化する巨大プロジェクト。
  • 目的:「常識」を持ったAIを作る。
  • 課題:膨大な知識の収集・整理が困難で、完全な成功には至らず。

成功と限界

成功点

  • 特定領域(医療・工学)では専門家レベルの成果を出した。
  • 「AIが人間の専門知識を模倣できる」ことを実証。

限界

  • 知識入力が膨大で人手不足 → 知識獲得のボトルネック
  • 現実の変化に対応しにくい(知識更新コストが高い)
  • 領域を越えた汎用性に欠けた

👉 この限界が「第2次AI冬の時代」の原因の一つとなった。


まとめ

  • 知識表現:IF-THENルール、フレーム、オントロジーなどで知識を形式化。
  • エキスパートシステム:知識ベース+推論エンジンで専門家を模倣。
  • 代表例:MYCIN(医療診断)、Cyc(常識知識)。
  • 限界:知識獲得のボトルネックにより、広範囲での実用化は難しかった。

出題傾向

  • 「MYCINの分野はどれか?」(答:医療診断)
  • 「第2次AIブームが停滞した理由」=知識獲得のボトルネック
  • 「知識表現の代表例」:オントロジー、フレーム、IF-THENルール

練習問題(例題)

問題:第2次AIブームで研究されたエキスパートシステム「MYCIN」の用途として最も適切なものはどれか?

  1. 囲碁の対局戦略
  2. 血液感染症の診断
  3. 自動車の制御システム
  4. 翻訳アプリケーション

👉 正解:2

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