結論:Pythonは「読みやすさ」を最重要視する言語です。
その文化は Zen of Python に刻まれ、PEP 8 という形で日常の開発ルールになっています。
この記事でわかること
- Pythonが「読みやすさ第一」を掲げている理由
- Zen of Python における代表的な格言
- 他言語との比較から見えるPythonの特徴
- 読みやすさを意識したコードの実例
Python文化の核心:「読みやすさ第一」
公式ドキュメントでは、繰り返しこう述べられています。
「コードは書かれるよりも多く読まれる」
つまり「自分が気持ちよく書けるコード」ではなく、
「他人(未来の自分も含む)が気持よく読めるコード」こそが価値。
この考え方は、オープンソースの世界で成長してきたPythonにおいて特に重要です。
世界中の誰もがコードを共有・レビューする環境では、“読む負担”を最小化することが最大の生産性向上につながります。
Zen of Python に見る「読みやすさ」
Zen of Python(PEP 20)には、読みやすさを象徴する格言がいくつもあります。
- 美は醜に勝る
→ 雑然としたコードより、整ったコードが良い。 - 明示は暗黙に勝る
→ 曖昧さよりも、誰にでも理解できる表現を。 - 単純さは複雑さに勝る
→ 余計な入れ子やトリックは避け、素直に書く。
これらはすべて「読みやすさ」を中心に据えた考え方です。
他言語との比較
- C言語やJava:
構文が厳格で詳細だが、そのぶん冗長になることが多い。 - JavaScriptやPerl:
書き方の自由度が高く、「ワンライナー」など凝った表現も可能。
ただし可読性が犠牲になることも多い。 - Python:
インデントによるブロック表現やシンプルな文法で、「誰が書いても似た形になる」。
これは意識的に「読みやすさ」を優先した設計思想の結果です。
実例:読みやすさの差
悪い例(読みづらい)
def f(a,b):return[a[i]*2 for i in range(len(a)) if b[i]==1]
良い例(読みやすい)
from typing import List
def double_selected(values: List[int], flags: List[int]) -> List[int]:
"""フラグが1の要素を2倍にして返す"""
result = []
for v, f in zip(values, flags):
if f == 1:
result.append(v * 2)
return result
- 命名で「何をしているか」が一目でわかる
- コメントで意図が説明されている
- 複雑な内包表記を避け、可読性を優先している
読みやすさを重視するメリット
- ✅ レビューがしやすい
- ✅ バグを早期発見できる
- ✅ 初学者でもコードの意図が理解しやすい
- ✅ 将来の自分がコードをすぐに直せる
よくある疑問(初心者Q&A)
Q. ワンライナーは悪いの?
A. 必ずしも悪いわけではありません。短さよりも読みやすさを優先しましょう。
Q. コメントが多ければ読みやすい?
A. コメントは「なぜそう書いたか」を説明するのが基本。
コードそのものがわかりやすければ、コメントは最小限でOKです。
Q. インデントに空白4つは必須?
A. PEP 8では「スペース4つ」が推奨です。タブや2スペースは可読性を損ねるので避けましょう。
まとめ
- Pythonは「書く」より「読む」を優先する文化を持っている
- Zen of Python の格言はすべて「読みやすさ」に直結している
- 他言語と比べても「誰が書いても同じ形」になりやすいのが特徴
👉 次は 1-4. Zen of Python と PEP 8 の位置づけ を解説していきます。