1-3. Python文化における「読みやすさ」の重視

テクニック

結論:Pythonは「読みやすさ」を最重要視する言語です。
その文化は Zen of Python に刻まれ、PEP 8 という形で日常の開発ルールになっています。


この記事でわかること

  • Pythonが「読みやすさ第一」を掲げている理由
  • Zen of Python における代表的な格言
  • 他言語との比較から見えるPythonの特徴
  • 読みやすさを意識したコードの実例

Python文化の核心:「読みやすさ第一」

公式ドキュメントでは、繰り返しこう述べられています。

「コードは書かれるよりも多く読まれる」

つまり「自分が気持ちよく書けるコード」ではなく、
他人(未来の自分も含む)が気持よく読めるコード」こそが価値。

この考え方は、オープンソースの世界で成長してきたPythonにおいて特に重要です。
世界中の誰もがコードを共有・レビューする環境では、“読む負担”を最小化することが最大の生産性向上につながります。


Zen of Python に見る「読みやすさ」

Zen of Python(PEP 20)には、読みやすさを象徴する格言がいくつもあります。

  • 美は醜に勝る
    → 雑然としたコードより、整ったコードが良い。
  • 明示は暗黙に勝る
    → 曖昧さよりも、誰にでも理解できる表現を。
  • 単純さは複雑さに勝る
    → 余計な入れ子やトリックは避け、素直に書く。

これらはすべて「読みやすさ」を中心に据えた考え方です。


他言語との比較

  • C言語やJava
    構文が厳格で詳細だが、そのぶん冗長になることが多い。
  • JavaScriptやPerl
    書き方の自由度が高く、「ワンライナー」など凝った表現も可能。
    ただし可読性が犠牲になることも多い。
  • Python
    インデントによるブロック表現やシンプルな文法で、「誰が書いても似た形になる」
    これは意識的に「読みやすさ」を優先した設計思想の結果です。

実例:読みやすさの差

悪い例(読みづらい)

def f(a,b):return[a[i]*2 for i in range(len(a)) if b[i]==1]

良い例(読みやすい)

from typing import List

def double_selected(values: List[int], flags: List[int]) -> List[int]:
    """フラグが1の要素を2倍にして返す"""
    result = []
    for v, f in zip(values, flags):
        if f == 1:
            result.append(v * 2)
    return result
  • 命名で「何をしているか」が一目でわかる
  • コメントで意図が説明されている
  • 複雑な内包表記を避け、可読性を優先している

読みやすさを重視するメリット

  • ✅ レビューがしやすい
  • ✅ バグを早期発見できる
  • ✅ 初学者でもコードの意図が理解しやすい
  • ✅ 将来の自分がコードをすぐに直せる

よくある疑問(初心者Q&A)

Q. ワンライナーは悪いの?
A. 必ずしも悪いわけではありません。短さよりも読みやすさを優先しましょう。

Q. コメントが多ければ読みやすい?
A. コメントは「なぜそう書いたか」を説明するのが基本。
コードそのものがわかりやすければ、コメントは最小限でOKです。

Q. インデントに空白4つは必須?
A. PEP 8では「スペース4つ」が推奨です。タブや2スペースは可読性を損ねるので避けましょう。


まとめ

  • Pythonは「書く」より「読む」を優先する文化を持っている
  • Zen of Python の格言はすべて「読みやすさ」に直結している
  • 他言語と比べても「誰が書いても同じ形」になりやすいのが特徴

👉 次は 1-4. Zen of Python と PEP 8 の位置づけ を解説していきます。

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