1.2 AI分野で議論される問題

G検定

人工知能は単なる技術的対象にとどまらず、哲学・倫理・社会学の問題とも深く結びついています。
ここでは、AI分野で頻繁に議論される代表的なテーマを整理し、G検定で問われやすいポイントを解説します。


シンギュラリティ(技術的特異点)

概要

  • AIが人間の知能を超える転換点を指す。
  • レイ・カーツワイルが「2045年にはシンギュラリティに到達」と予測したことで有名。
  • AIが自らを改良し続ける「指数関数的成長」により、人間の理解を超える進歩が起こるとされる。

論点

  • 楽観的シナリオ:AIが人類の課題を解決し、豊かな社会を実現。
  • 悲観的シナリオ:AIが制御不能となり、人類に脅威を与える。

👉 試験ポイント:「シンギュラリティを提唱した人物」「到来予測年(2045年説)」


チューリングテスト

概要

  • アラン・チューリングが1950年に提案した「AIの知能を判定する方法」。
  • 人間の審査員がテキスト越しに会話し、「相手が人間かAIか区別できなければ、AIは知能を持つ」とみなす。

意義

  • 初期のAI研究における「知能の基準」として長らく参照されてきた。
  • 実際には「自然言語処理のテスト」としての側面が強い。

派生

  • ローブナーコンテスト:毎年開催されているAIチャットボットの大会。
  • 完全に人間を欺くAIはまだ存在しないが、部分的には成功事例も出ている。

👉 試験ポイント:「チューリングテストを提唱した人物」「ローブナーコンテストの概要」


中国語の部屋(Chinese Room Argument)

概要

  • 哲学者ジョン・サールが1980年に提唱した思考実験。
  • 内容:
    • 中国語を理解できない人が「マニュアル」に従って記号を操作し、中国語の質問に対して正しい答えを返す。
    • 外部から見ると「中国語を理解している」ように見える。
    • しかし実際には「記号操作」であって、理解しているわけではない。

意義

  • 「記号操作だけで知能といえるのか?」という疑問を投げかける。
  • AIの**「意味理解の有無」**をめぐる重要な議論。

👉 試験ポイント:「中国語の部屋の提唱者(ジョン・サール)」「問題提起の内容」


フレーム問題

概要

  • AIが現実世界の変化を扱う際に直面する課題。
  • 例:ある行動を取ると環境のあらゆる部分が変化し得るが、どの変化を重要視すべきか判断できない

具体例

  • ロボットが「コーヒーを取ってくる」タスクを与えられたとき:
    • 杯を持ち上げる → テーブルクロスが落ちる → 食器が割れる → 床が汚れる …
    • AIは無限に考慮しなければならず、現実的に対応不可能。

👉 試験ポイント:「フレーム問題とは何か?」を正しく説明できるか。


知識獲得のボトルネック

概要

  • 第2次AIブーム(1980年代)の中心課題。
  • エキスパートシステムを構築する際に人間の専門知識をAIに入力する作業が膨大で、進展が止まった。

影響

  • 「AIは理論的には強力だが、実用化は困難」という認識が広まった。
  • この問題が第2次AI冬の時代の一因となった。

👉 試験ポイント:「第2次AIブームが停滞した要因」=知識獲得のボトルネック。


シンボルグラウンディング問題

概要

  • 言語や記号をAIが理解する際の根本的問題。
  • 例:AIが「りんご=Apple」と学習しても、それが実際の果物とどう結びつくかは分からない。
  • 記号(シンボル)と実世界の「意味」をどう対応づけるかが難しい。

意義

  • 自然言語処理や知識表現研究における基盤的課題。
  • 現代の大規模言語モデル(LLM)にも通じるテーマ。

👉 試験ポイント:「シンボルグラウンディング問題の定義」


まとめと出題傾向

  • シンギュラリティ:AIが人間の知能を超える転換点(2045年説)
  • チューリングテスト:知能の有無を判定する方法(アラン・チューリング)
  • 中国語の部屋:記号操作だけで「理解」と言えるのか(ジョン・サール)
  • フレーム問題:現実世界の変化を無限に考慮しなければならない課題
  • 知識獲得のボトルネック:第2次AIブーム停滞の要因
  • シンボルグラウンディング問題:記号と実世界の意味の結びつき

例題(練習)

問題:次のうち「中国語の部屋(Chinese Room Argument)」が示した課題を最も正しく説明しているものはどれか?

  1. AIが自然言語を処理する際に膨大な計算資源が必要になること
  2. 記号操作だけで言語を扱っても「意味の理解」があるとは言えないこと
  3. 機械翻訳において文脈を解釈できない問題
  4. 人間がAIに知識を与える作業が膨大であること

👉 正解:2

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